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1月, 2023の投稿を表示しています

EPMAによる試料の元素分析

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 A5ランクとかラベルされてるだけで,なんだかやんごとないものに見える 矢口研で育成された試料は,EPMAを使用してもれなく元素分析されます. Electron Probe Micro Analyzerは,試料に電子線を照射して発生する特性X線強度を測定することで,試料を構成する元素の比を決定できる装置です. FeSe系では元素比が1:1からずれるため,元素比の定量分析が欠かせません. また,Fe(Te, S)といった元素置換試料は,その置換量が重要であり,やはりEPMAが欠かせません. "元素分析済み" これだけで,データの価値は上がります.

超音波測定の準備

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  試料が小さすぎると一気に難易度がはねあがる… 超音波測定に使用する圧電素子の面積は1.2 mm x 1.5 mm程度です 測定のためには、試料を2枚の圧電素子で挟む必要があります.サンドイッチですね. それゆえ、0.1 mm程度の試料ともなるとサンドイッチ作りも容易にはいきません。 写真のなかで、銀色の針っぽいのが試料です。よくみると、上下方向から挟まれているのがわかります。  これを測定プローブに載せて、圧電素子の電極に金線をつなぎ電気回路を形成します。 超音波信号がでるといいのですか…

破邪の封印

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有害物質が原料でも,封じて合成すれば有用物質に 矢口研のメインテーマであるFeSe超伝導体を育成するためには,単体セレンを扱う必要があります.しかしながら,セレンの過剰摂取は危険です. そのため,グローブボックスという密閉空間を用意することで安全な取り扱いを心がけています. 写真は,FeSe育成終了後の石英管です.中に単結晶試料があるはず... できた!!! FeSeとしては大きな単結晶ができました!これにはM2のT君も大喜び! 育成条件が詰められているからこそ,大きな単結晶が得られます.  

いとはかなうものし給ふこそ,あはれに後ろめたけれ

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  結晶が大きいといろんな物性測定ができるようになる 今年度の卒研は3グループに分かれています.写真はFeTe班が育成に成功した単結晶です! この物質は70 K程度で反強磁性を示す一方で,超伝導を示しません.しかしながら,Fe(Se, Te)超伝導体の母物質としてとても重要な研究対象です.FeTeの物性の理解がFe(Se, Te)の超伝導発現機構の理解を深めます. キレイな結晶は割れやすい... FeTe単結晶の結晶構造を考えてみましょう.ものすごーく平たく言うと,ミルフィーユです.もしくは円くないバウムクーヘンです.ペリペリはがれそうですね. 純良になりすぎたFeTe単結晶はミルフィーユになります.写真のように簡単に割れてしまうのです. しかしながら,割れやすいということは平滑な面がでるということでもあります. 4年生は,この性質を応用した物性測定を遂行中です.

修論執筆も実験から

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顕微鏡をみながら1 mm x 1 mmの試料に電極づけ...すごい集中力 修論の執筆も終盤戦になりました.足りないデータは直ちに測定しなければなりません...大変だ... しかしながらM2ともなると,実験準備はお手の物.顕微鏡とピンセットを駆使して電極付けを完成させます. ゼロ抵抗でるかな...とりあえず液体ヘリウムに入れてみるか T君の試料は超伝導転移温度が10 K程度なので,4.2 Kで液体のヘリウム4が必要です. ヘリウムが入った容器にプローブを差して低温環境を実現します. 液体ヘリウムは4,500円/Lと高価です...が,学生的にはコスパが高いと評判です.一体何のコスパなんでしょうか…???      

卒業研究もプローブ作りから

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  自分たちで作った電気抵抗測定用のプローブ...動くかな...と心配している4年生たち 物性測定には2つの重要な要素があります.1つめは試料育成.矢口研の得意分野ですね. もう一つは,測定のための装置です.装置なくしてデータなし. 装置にも2種類あります.1つめがデータを撮るための電子機器.これは買えばオーケーです!!!(予算👛...) もう一つが,測定のためのプローブ.簡単に言うと,測定試料に電極などを配線するための道具です. 今年の4年生の卒研テーマの1つが「プローブを自作して電気抵抗測定」というものでした. はんだ付け,電線の配置など相当苦労しましたが,なんとか銅酸化物超伝導体のゼロ抵抗を確認することができました!!!

卒業研究も試料育成から

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  レシピ通りに原料を秤量するよ 研究に使う試料を自分たちで合成します.レシピ通りの秤量がポイントです.ここでは化学の知識が重要 試料を封管するよ 秤量した原料を石英管に入れて閉じます.炊飯ジャーのイメージです. 試料の合成温度は400℃を超えます.高温に耐えられるように融点の高い石英を使います. レシピ通りに合成温度を設定するよ 封管した原料を合成炉に入れ,どのような温度履歴で合成するかプログラムします. 400℃で336時間...完成まで待ち遠しい

実験道具たち

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弘法も筆を選んだ方が仕事が早かったはず よりよいものつくりや実験準備のためには,道具は結構重要です 使いやすいピンセット,使いやすいはんだごて,使いやすい顕微鏡などなど... 惜しまず研究費を投入します...バイバイ研究費👛  

装置作り

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装置がないのでつくります 物性測定にはプローブが必要だけど,電気抵抗などのメジャー測定とは違い音波はドマイナーなので,プローブの自作が必要です 真鍮やステンレスの材料を購入し,自分で作り上げます(切削加工→溶接加工→仕上げ) 作製は手間がかかりますが,1点物の自分専用プローブが完成したときの達成感は何物にも代えがたい!  

超音波測定装置

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  超音波測定はややこしい いろいろな装置を組み合わせて測定系を構築する必要がある (ロックインアンプ1台で完結するAC磁化測定がうらやましい) それだけに,装置を自分で揃えられた時の感動はすごかった 矢口研には,栗原所有の音波装置があります 今ならマシンタイム無制限で使いたい放題です たくさん実験したい学生はぜひ矢口研まで

低温実験進行中

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AC磁化率の温度変化を測定するM1のK君.もうすぐ超伝導転移しそう! 当研究室のメインテーマである超伝導体Sr2RuO4の物性測定では,超伝導転移温度1.5 Kの低温環境実現が必要です. そのため,液体ヘリウム4(常圧で4.2 K!!!)を使用し,さらに減圧することで1.2 Kもの低温を得ています.

テスト

理科大理工・矢口研助教の日常を投稿します